海上保安庁は昨年1年間の活動をまとめた「海上保安レポート2025」を公表した。海洋権益を巡る国家間の対立が拡大する中、「日本の海の警察」として活動する意義を強調した。
Japan Coast Gurard Train in Kyoto

京都・舞鶴沖で行われた初の合同訓練で併走する(上から)韓国、米国、日本の巡視船=2024年6月(海上保安庁提供)

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海上保安庁は16日、昨年1年間の活動をまとめた「海上保安レポート2025」を公表した。覇権主義的な海洋進出の動きを強める中国を念頭に「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、多国間、二国間の枠組みによる国際連携の強化を紹介。海洋権益を巡る国家間の対立が拡大する中、「日本の海の警察」として活動する意義を強調した。

巻頭の特集タイトルは「平和で美しく豊かな海」。四方を海に囲まれたわが国は国土面積の約12倍、447万平方㌔㍍に及ぶ領海と排他的経済水域(EEZ)を有する。海上保安庁が設置された昭和23年当時は密輸や密航が横行、機雷が残る「暗黒の海」と化した治安確保が主な任務だったが、近年は海洋資源開発を巡る国家間の対立が多発。レポートでは「沿岸1か国のみでは対応することが困難になった」と指摘した。

海に関する諸問題が地球規模で拡大する中、法の支配に基づく海洋秩序の維持に向け、世界の海保機関が協力して「シーレーン(海上交通路)」を守るグローバル連携の重要性を強調。昨年6月にシンガポールで開かれた「アジア安全保障会議」に海保として初めて参加したことや、京都・舞鶴沖で初の日米韓合同訓練を実施したことなどを紹介した。

多国間連携の重要性にフォーカスした海上保安庁の年次報告(白岩賢太撮影)

この1年の振り返りでも、昨年10月に鹿児島市七ツ島に整備された海保最大のヘリ格納庫と燃料タンクの本格運用が始まったことを取り上げ、尖閣諸島(沖縄県石垣市)の領海警備体制をさらに強化したとアピール。大型巡視船や無人航空機の増強を「一層進めていく」としている。

レポートは21日発刊。書店で1540円で販売し、8月ごろには海保のホームページでも公開される。

筆者:白岩賢太(産経新聞)

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